女性の病気 脳や神経の病気

脳梗塞の運動麻痺のメカニズムとは?脳の部位によって麻痺が違ってくる

脳梗塞の運動麻痺のメカニズム

脳梗塞の運動麻痺のメカニズム

軽い脳梗塞で右手に運動麻痺が出ています。脳梗塞はいつもより右腕が重く、動かしにくいなと感じ、家族に相談したところ、脳梗塞かもしれないと迅速に判断してもらったので、すぐに病院に行き、点滴で治療できました。軽いとはいっても、運動麻痺が起こる部位に梗塞ができていたようで右手がうまく運動できません。運動麻痺が起こるのはどうしてなのかを教えてもらいたいです。

この記事は、「脳梗塞で起こった運動麻痺」を詳しく解説し、あなたが知りたいお悩みに応えていきます。

私は大阪を中心に女性限定で自宅出張スタイルでパーソナルトレーニングを実施しますトレーナーのtakです。
脳梗塞の運動麻痺を病院実習をして学んできましたので、専門的にお答えができます。

脳梗塞の運動麻痺は、上位運動ニューロンといって運動野から神経線維を延ばしている背外側系が脊髄に到達する間の血管で梗塞が起こったために、神経伝達がスムーズにいかなくなって運動の時間がかかる状態です。

運動麻痺は運動を感覚でインプットして運動野に届けてあげ、その情報をもとに、日常行為を自然に行えば改善していきます。

運動麻痺が残っているのは、リハビリがまだ足りないか、リハビリの方法が筋力を高める方法だったからかもしれません。

そんなあなたがこれから運動麻痺を改善してもらえるために、この記事では、脳梗塞で起こる運動麻痺に関して分かりやすく解説します。

この記事を読んでわかること

  • 脳梗塞の運動麻痺は、上位運動ニューロンの神経伝達がうまくいかず起こっている
  • 脳梗塞の部位が延髄や脳幹で起こっていると弛緩性麻痺といって感覚が失われている症状もある
  • 上位運動ニューロンに感覚で運動刺激をインプットすると運動麻痺は改善できる

脳梗塞で起こる運動麻痺とは神経伝達ができず筋肉が収縮できない状態

脳梗塞や他の神経障害で起こる運動麻痺は、神経伝達ができなくなって筋肉に収縮する指令がいかず、筋肉の収縮ができなくなる状態です。

神経伝達が正常であれば、予期された日常生活のための動作に基づく運動を安定させる筋肉の収縮ができるのですが、運動麻痺が起こると、それらができなくなります。

これから書いていきますが、運動麻痺をきたす病気の部位に梗塞(血管がつまる)、血管が破れて出血などで神経細胞に栄養が滞り、細胞死で神経細胞同士が伝達し合えなくなっているので、筋肉に伝達される情報がスムーズでなくなることで、運動麻痺が起こります。

運動麻痺の症状には、完全に動かせなくなる状態の「完全麻痺(complete paralysisi)」と多少は動かせることができる「不全麻痺(paresis)」があります。

これらの運動麻痺は、病気を発見する手がかりとなることもありますので、手足の運動がいつもよりもしずらいなって感じたときは、運動麻痺をきたす病気が体内で発症している可能性もあります。

食事のときにお箸が使いにくとか、お皿を洗うときに落としてしまうなどの症状が、運動麻痺による病気の後遺症で生活の妨げになります。

脳梗塞で起こる運動麻痺のメカニズムとは運動ニューロンの抑制

脳梗塞で起こる運動麻痺のメカニズムは、脳梗塞などの病気から神経障害が起こり、筋肉を収縮させる運動ニューロンが興奮が強くなるか、抑制が強くなるかによって、筋肉を適切な収縮ができなくなります。

ここで運動麻痺をメカニズムを理解するために、2つの運動のタイプを解説していきます。

2つの運動のタイプは、目的をもった運動である随意運動と自分の意志とは無関係の不随意運動があります。

  • 随意運動
  • 不随意運動

運動麻痺は、神経細胞のつながりのうちで病気によって異なるのですが、次にあげる筋肉に到達する間のどこかで神経障害が起きるので、結果として日常生活がスムーズにできなくなるからです。

筋肉に伝達されるまでに関わってる神経細胞を見ていきましょう。

  • 目的をもった運動(日常生活の行為)で行動プログラムが組まれる
  • 四肢の運動は大脳の中心前回にある大脳皮質運動野の神経細胞が興奮
  • 皮質脊髄路(錐体路:すいたいろ)と呼ばれる経路が内包、大脳脚、橋底部を通り、延髄錐体に伝達
  • 錐体で交叉して反対側の脊髄側索を経由して脊髄前角に伝達
  • 脊髄前角細胞の軸索が前根から出て脊髄神経となり、それぞれの支配筋に伝達
  • そこから末梢神経線維(運動神経線維)を介して神経接合部を経て筋肉の収縮を促す

運動に関わってる神経は、大脳皮質運動野レベルを上位運動ニューロンといい、脊髄前角細胞から筋肉に向かっていくレベルを下位運動ニューロンと医学的にいいます。

脳梗塞で起こる運動麻痺には痙性麻痺と弛緩性麻痺

脳梗塞で起こる運動麻痺には痙性(けいせい)麻痺と弛緩性麻痺の2種類があります。

痙性麻痺をきたす病気と弛緩性麻痺をきたす病気をそれぞれ解説します。

痙性麻痺をきたす病気

  • 大脳中心前回皮質
    脳血管障害(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)、外傷、脳脊髄膜炎、クロイツェルト、ヤコブ病、変性疾患(ALS、アルツハイマー病末期)
  • 大脳中心前回白質、内包、大脳脚
    脳血管障害、脱髄疾患(多発性硬化症など)、脳腫瘍、脳膿腫、クロイツェルト、ヤコブ病
  • 橋底部
    脳血管障害、外傷、脳腫瘍、脱髄疾患(多発性硬化症など)、変性疾患(オリーブ橋小脳委縮症など)
  • 延髄錐体
    脳血管障害、外傷、脱髄疾患、脳腫瘍、延髄空洞症
  • 脊髄側索、前索
    脊髄血管障害(前脊髄動脈症候群)、HAM(HTLV-I associated myelopathy)、脊髄空洞症、脊髄腫瘍、脊髄損傷、亜急性脊髄連合変性症(悪性貧血合併)、頚骨、胸骨変形による圧迫性脊髄障害

上記の内容が痙性麻痺をきたす病気の種類です。
脳梗塞や他の神経障害が起こる部位によって病気の種類が変わってきます。

次に弛緩性麻痺をきたす病気の種類です。

弛緩性麻痺と筋萎縮をきたす病気

  • 脳幹の運動神経核および脊髄前角細胞の障害
    筋萎縮性側索硬化症、脊髄空洞症、二分脊髄、結核、サルコイドーシス、ポリオ、脳幹部や脊髄の血管障害(梗塞、出血、動静脈奇形)
  • 末梢神経障害
    糖尿病、ビタミンB群欠乏症、アミロイドーシス、尿毒症、ギランーバレー症候群、重金属中毒(鉛、ヒ素)、有機水銀、抗がん剤、ジフテリア、EBウイルス感染、手根管症候群、脊椎変形による神経根障害、フォンーレックリングハウゼン病
  • 神経筋接合部障害
    重症筋無力症、筋無力症様症候群、ボツリヌス毒素、フグ毒、有機リン中毒、筋ジストロフィー、ミトコンドリアミオパチー、多発性筋炎、皮膚筋炎、ウイルス感染(コクサッキー、HIV)、結核、アルコール、薬物(麻酔薬など)
  • 筋障害
    筋ジストロフィー、ミトコンドリアミオパチー、多発性筋炎、皮膚筋炎、ウイルス感染(コクサッキー、HIV)、結核、アルコール、薬物(麻酔薬など)

医学的な病名が上記の表に書いてますので、聞き慣れない言葉ですが、運動麻痺は脳梗塞でよく起こる症状ですが、脳は病気でなくても、脊髄にインプットしていく神経線維に梗塞が起きても運動麻痺が出ます。

脊髄から筋肉にアウトプットしていく神経線維に圧迫されるような腫瘍ができても、運動麻痺が起こります。

運動麻痺の痙性麻痺と弛緩性麻痺のそれぞれの特徴を見ていきます。

痙性麻痺(けいせいまひ)

痙性麻痺は前述していますが、上位運動ニューロンの障害によって起こるのですが、筋肉の緊張やアキレス腱や手首の腱などの深部腱反射が亢進(こうしん)されます。

脳梗塞で神経系の興奮が抑制できなくて筋肉や腱の緊張が強くコントロールできない状態を、神経系の亢進といいます。

深部腱反射は、バビンスキー反射(Babinski reflex)といい、病的な反射が起こり、リハビリで運動を感覚でインプットし、腱が伸張するとコントロールができなくなって、震戦(しんせん)という異常な震えが起こることがあります。

痙性麻痺は、脳の部位でいうと、上位に存在する大脳皮質から経路をなす下方に向かっていく神経線維のどこかで梗塞が起き、神経線維に障害が起きます。

痙性麻痺がよく起こる脳の部位

  • 大脳皮質運動野
  • 内包
  • 脳幹
  • 脊髄

痙性麻痺が起こる原因の部位の多くは、脳血管障害で起こり、血管内で梗塞が発生すると、それぞれの血管の領域に支配する錐体路(外側皮質脊髄路)が支配する神経線維に障害が出てくるのです。

弛緩性麻痺(しかんせいまひ)

脳梗塞で起こる運動麻痺の種類

まとめ:脳梗塞で起こる運動麻痺はリハビリで改善できる

脳梗塞で起こる運動麻痺は、発症部位によってさまざまな症状が起こります。

右手が動かしにくいのは、2つの原因がありまして、上位運動ニューロンで梗塞が起きているか、延髄や脳幹などの脳の下位の部位で神経伝達がスムーズに行なわれていないかによります。

脳梗塞の運動麻痺には、

  • 痙性(けいせい)麻痺
  • 弛緩性(しかんせい)麻痺

があります。

痙性麻痺とは、運動を達成させる最低限の脳から準備される緊張(トーン)が高くなり過ぎて、動作を巧みにさせる緊張と緩和が適切なリズムで行なわれない状態です。

あなたの右腕の動きにくさは、痙性麻痺によるもので、脳からの緊張を抑制するリハビリが必要です。

もう1つは、痙性麻痺を起こす上位運動ニューロンが通っている延髄や脳幹で神経伝達がスムーズにいかず、右手の運動を行なう際に体幹が予測的に準備されなくて、腕を安定させている肩や肩甲骨に不安定性が出ている弛緩性麻痺です。

脳梗塞が起こるまでは、脳と脊髄、そして運動を実現させる末端の運動器(手・肘・肩)が日常行為という課題に適応できていました。

そのような自然にできていた行為が、脳梗塞で運動麻痺が発症したために、感覚が悪くなったり、痙性や弛緩性が強く出てしまっているので、動きにくさが認識されているのです。

脳梗塞で起こった運動麻痺は、感覚をインプットして運動を新しいプログラムにして実現させるリハビリによって改善していけます。

この記事で知ってもらった脳梗塞の運動麻痺の知識を脳の片隅に残しておき、ぜひリハビリに臨んでもらえればなと思っております。

takの出張パーソナルトレーニング
大阪堀江・新町にお住まいの方限定の出張パーソナルトレーニング

堀江・新町限定出張パーソナルトレーニング

上記以外にお住まいの女性の出張パーソナルトレーニング

上記以外にお住まいの女性の出張パーソナルトレーニング

takのメンタルトレーニング
takのメンタルメソッドでメンタルから改善したい女性向けのメンタルトレーニング

takのメンタルトレーニング

キーワード:脳梗塞 運動麻痺
タイトル:脳梗塞の運動麻痺のメカニズムとは?脳の部位によって麻痺が違ってくる

  • この記事を書いた人
アバター

たかひと |コンサルタントコーチ

大学生の20歳にパーソナルトレーナーで個人事業主に。そこからビジネスをスタート。大学卒業後も就職はせずそのままビジネスの世界に。トレーナーとしてマンツーマンで人のカラダを向き合うにつれ、ココロへの関わりの重要性に気づき、大学院で臨床心理士を取得。その後重度精神疾患病棟担当。そこで関わった患者さんに気づいた脳特有の動き。ココロが止まり、脳内の神経作用だけが暴走してしまう反応を見て、脳とココロを分ける体感が得られるようになった。 カウンセラー活動しながらリアルでビジネスを実施。2017年までに13事業を運営し総売上は15億円。しかし固定費をかけすぎて収益化が難しくなり38歳で全ビジネスをクローズに。そこから2年間無職時代を経て、2019年にコンサルティング事業をスタート。意識のつなぎ方を変える時間共有を生み出して乗り越えにくかったビジネスの壁をカンタンに越えられるようになった。 カウンセリングは25,000人以上。
コンサルティングは4,000人以上。

-女性の病気, 脳や神経の病気